男の不気味な笑い声がこだました 「そうだ!俺だ! 俺がライターを使って木に火をつけたのさ! そこの人間をたたき出すためにな!」 「ひどい・・・! 共存しようと持ちかけたのはそっちじゃない!!」 僕は必死に服でおでこの汗を拭った 息も苦しい 頭がくらくらする 「人間の醜さを知らないんだな お前は」 どんどんメガネ男が近くなる 僕のかかとはもう泉ぎりぎりだ 周りでどんどん木が倒れる 木が泣いていた 「ニアリス ニンゲンって僕のこと・・・?」 恐る恐る聞いてみたけど 返事は無かった 僕は自分の手とニアリスの前足を見比べた 「・・・僕・・・ニアリスと違う・・・」 今までどうして気づかなかったんだろう? 簡単なことだったのに 涙が出てきて 僕は自分の手を握り締めた 「ヴァリィ 泣かないで 貴方が人間だとしても 私と同じように生きてるじゃない」 「でもニアリス・・・」 「オイ!家族愛はもう充分だ! ここまで言ってよこさねぇならもうお前には死んでもらうぜ!!」 メガネ男の黒い筒みたいなものがケムリを上げて 僕の耳に乾いた音が響いた それからゆっくり ニアリスの体が僕の視界から消えて 名前の知らないあの花が 生き物みたいに舞い上がって 「ニアリス・・・?」 その花が 青い血で染まっていった 「ニ・・・ニアリス!!!」 青い血で体中べたべたにしながら 僕はニアリスを抱き上げた 銃弾はニアリスの頭を貫通していて 体はぐったりとしていて重かった 「さぁさぁ もうこれでお前を守ってくれるものは誰もいなくなったぞ? じゃぁとっとと捕まりな」 黒い筒の先を僕に向けて メガネ男はじりじりと詰め寄ってきた 僕は無我夢中で泉に入った 「ちきしょう!待ちやがれ!!!」 服が水にぬれて重くなっても 僕は無我夢中で泉に入っていった 水は燃えてく木々とは対照的に 清らかで透明で 冷たかった (嫌だ・・・嫌だ・・・ 死にたくない・・・!!!) ―消えうせる白い炎 食い尽くす牙― (・・・?!) 頭に響く声 誰?誰なの? ―永劫の命を 輝ける力を― (永劫の命?輝ける力? 一体何なの・・・!?) すぐ後ろにはメガネ男が血眼で迫ってくる 僕は顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら走り続けた ―そなたのその蒼きサダメと引き換えに― ← →