僕は剣で頭から真っ二つに切られたような衝撃に襲われて
泉の中に倒れこんだ
わけの分からない痛みに悶えていて メガネ男に捕まえられた


「捕まえたぜ!!もう逃がさねぇ!!」

男はポケットから注射器みたいなのを取り出して
僕の腕を乱暴に掴んで 射そうとした




「うわぁぁあああぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」





目の前が真っ白になって 地面が波みたいに揺らいだ
燃えていた木々が吹き飛んで それに巻き込まれてメガネ男も吹き飛ばされた
木が大きな音を立てて根っこから折れ 空のかなたに飛んでいくのがわずかに見えた
次々と木々をなぎ倒して吹き飛ばして 僕はただ痛みに耐え切れずに叫び続けていた

僕の巻き起こした風がかまいたちになって
体から出る白い光が牙になって
やっと痛みから解放されたと思ったら あたり一面まっ平らになっていた


残されていたのは ニアリスの体と あの花と 僕と 泉だけだった





僕は真っ白になっていく世界を感じながら
冷たい泉の底へと沈んでいった
顔の脇をすり抜ける泡は ひんやりしていてとても柔らかかった

楽になろう ニアリスとゴンガガのところへ行こう そう思った





霞んで視界が狭くなって 




―あなたの体はもう死ぬことを恐れない―




遠くの彼方で響いていく さっきと同じ声




―ヴァニシング症候群は あなたと共に存在する
 永遠の命と狂人的な力の代わりに―





―あなたはいつ消えるか分からない恐怖に駆られ続けながら生きていく―





水面に太陽がきらめいて とっても綺麗だった
ゴンガガとニアリスが並んでこっちを見ている気がした

背中に当たった小石が痛い




―ヴァリィ あなたは生きなさい
 例えどんな宿命を背負ったとしても 生きなさい―





―結局俺 お前と一緒に泉に行ってやれなかったなぁ・・・
 ごめんな 不甲斐ない父親で・・・―






わぁ・・・ こんなに近くに二人が居る・・・



手を伸ばして 二人に触れたら
波紋を広げて消えてしまった






眼を閉じて 僕は歌声を聞いた



―再生か破滅か

それは誰にも解らない


凍てついた祈りを

神へと差し出せ





朽ちゆく身体を守りたいのならば―






それは水底から響いてきて
泡となって僕を水面へと押し上げた


太陽があったかい かすかに揺れる水面が気持ちいい





僕はニアリスの体を泉に託すと
泉を出て 歩き出した





ただ声のする方へ ひたすら 歩いて










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 おまけ→