「ごめんね・・・ ごめんね・・・
 あなたを産んでごめんね・・・」


あったかい いい匂い
でもちょっぴりひんやりした


「どうして謝るの?
 あなたは何も悪くないよ」

顔に落ちる冷たい雫
暗くてはっきり見えない


「ううん 全て私が悪いの・・・
 あなたみたいな体質を産みつけたんだから・・・」

「僕みたいな体質?」


その人の腕が離れてく
月明かりの逆光で結局顔は一度も見ることは出来なかった

今でも覚えているのは その暖かさと 涙の冷たさだけ


しばらくして 小さな背中が霧に隠れて見えなくなった

+++++++++


「ん・・・」

全身で感じる 朝の匂い


むっくりと起き上がって めいっぱい伸びをする


「・・・またここで寝ちゃったのか」


森の真ん中にある 大きな泉
周りには名前の知らないキレイな花がいっぱい咲いていて
時々吹く風にゆらゆらと体を揺らす

淡く光る胞子が 突き抜けになっている空から降ってくる
手でそっとすくうと もろく崩れてしまった


「ここに居たのね」

声がした方へ顔を向けた

光に照らされた真っ黒な毛並みは
それの動きにあわせてつややかに光る


「ここ とっても素敵よね
 私もよくゴンガガと来たものだわ」

僕のとなりに静かに座った

「ねぇニアリス どうしてこの泉には入っちゃいけないの」

ニアリスは朝日のまぶしさに眼を細めながら言った

「ここが森の神様の家だからよ
 ヴァリィだって 勝手に家に入られたら嫌でしょう?」

「ううん 嫌じゃないよ
 みんな友達だもん」

ふさふさしたニアリスの体がそっと僕の顔に触れた

「そうね ヴァリィはみんなと友達だものね」

そしてまた眼を細めた